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第六四話 乱入

作者: 文月 澪
last update 最終更新日: 2026-01-19 16:00:48

 隊員達にもしっかりと頭を下げて挨拶をする。上に立つ者にはそれなりの礼節が求められるのだ。父の立ち居振る舞いはどうかと思うが、それでも班長としての仕事はしっかりこなしている。優斗もこれから現場で先陣を切っていくのだ。舐められず、しかし嫌われない絶妙なラインを維持しなければならない。そのための礼儀だ。

 隊員達も一様にほっと息を吐く気配が伝わってくる。優斗とて瀬下の様な態度を取られなければ普通に接するのだ。それを真っ先に見せた瀬下にはある意味感謝してもいいのかもしれない。

 時間も迫り優斗も列に加わろうとした。

 その時。

 道場の扉を乱暴に開き、三人の若者が乱入してきた。

 男が二人。女が一人。歳は優斗と変わらないくらいだろうか。

 先頭の男はこの暑い中、半袖のワイシャツにきっちりネクタイを締めている。黒髪をオールバックに撫で付け見た目からも気難しい性格が窺えた。

 後ろの男はネクタイも緩く着崩して髪を伸ばしたチャラそうな外見だ。その耳には無数のピアスが光っている。

 女も制服姿だ。丸襟のシャツに赤いボーダーのリボンを結び、揃いのスカートとボブの髪が揺れていた。

 皆容姿は整っているがどこか冷めた印象を受ける。

 後堂の様子を見ると舌打ちをしていた。どうやら招かれざる客の様だ。隊員達もざわついている。その列を割り後堂が前に出て乱入者に恫喝した。

「何用ですかな。今日の訓練にあなた達は参加しないはずでは? 今から始める所ですので邪魔しないでいただきたい」

 しかし、乱入者達は意に介した風もなく後堂を睨んでいる。そして先頭の男が口を開いた。

「今日ここに共切を抜いたヤツが来ると聞いている。出してもらおうか。俺達にはそいつを見極める義務がある。後堂さん、貴方も分かっているだろう。何処の馬の骨とも分からないヤツに共切を渡す訳にはいかない。あれは我らの切り札だ。相応しくないと判断すれば容赦はしない」

 そう言いながら周囲を見回す。優斗は自分から進んでその視線に身を晒した。それを後堂が止めるが男達の目が鋭く射抜く。

「お前か。名を名乗れ」

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